2017年1月10日火曜日

アルミニウムと電気自動車~ウスイ金属豆知識~

今回ご紹介するウスイ金属豆知識は、「アルミニウムと電気自動車」です。
国内自動車メーカー大手トヨタ自動車では今、電気自動車の“電池”としてアルミニウムが注目されています。とっても興味深いニュース記事でしたので、引用してご紹介させていただきます。

現在、街中を走っている主な自動車はガソリン車ですが、ガソリン車から排出される二酸化炭素による地球温暖化問題など、環境保全に対する意識から今後ガソリン車は減り、電気自動車など二酸化炭素を排出しない自動車に置き換わるであろうといわれており。現に、国内外を問わず様々な自動車メーカーから電気自動車が開発され、徐々に市場でのシェアを広げている様です。

そんな電気自動車ですが、車体にリチウムイオン蓄電池が搭載されており、いわば充電式の電池です。より電気自動車の利便性を上げる為、要であるリチウムイオン電池の充電容量などを上げたい所ですが、リチウムイオン電池の性能向上には上限があり、既に上限へ近い水準に達している為、今後の伸びしろが限られているのだそうです。

そこで、トヨタ自動車ではリチウムイオン電池にとって代わる新たな電池として、「アルミニウム空気電池」に注目している様です。

アルミニウム空気電池、それも一次電池に注目したのだという。「亜鉛やリチウムの空気電池で生じる問題が起きず、高出力で高安全な電池ができる」(陶山氏)。自動車に適した性質だ。
参考:リチウムを超える「アルミニウム」、トヨタの工夫とは 

このトヨタが注目するアルミニウムの一次電池は、従来の電気自動車で用いられてきた充電式のリチウムイオン電池と異なり、充電が出来ず使い切りの電池となります。充電出来ないなんてとっても不便では…?と思われますが、視点を変えれば

「車載電池の容量は現在でも非常に大きい。これを一般的な電気プラグで急速充電しようとすると、電池側がどんなに頑張ってもインフラが制約になってしまう。それに対して金属空気一次電池では放電後のバッテリーパックを交換する『メカニカルチャージ式』を採用することで、急速補充が期待できるのではないかと考えている」(陶山氏)。
参考:リチウムを超える「アルミニウム」、トヨタの工夫とは 

急速充電器は、普通充電器よりも高価だ。さらに短時間で充電しようとすると大電流を扱う機器が必要になるという主張だ。電池本体を交換式にしておけば、電池の容量が多くなっても交換に必要な時間はさほど変わらない。容量が100%残っている電池を差し込めば、そのまま「満充電」状態になる。
参考:リチウムを超える「アルミニウム」、トヨタの工夫とは 

上記の様なメリットも得られる様ですね。
確かに、電池を差し替えるだけですぐに満充電状態になるのならとっても手軽ですね。
まだまだアルミニウム一次電池にも課題はある様ですが、解決策もトヨタ自動車では研究されている様です。アルミニウムは自動車産業の場面でも大活躍ですね。

ウスイ金属

2016年12月26日月曜日

アルミニウムとリサイクル~ウスイ金属豆知識~

今回のウスイ金属豆知識ではアルミニウムとリサイクルに注目してご紹介します。

身近なアルミニウムといえば、アルミ缶ですね。
アルミ缶と言えば回収されリサイクルされている事は皆さんもご存じかと思います。
何故アルミ缶の回収・リサイクルが盛んに行なわれているのでしょうか?その理由はアルミニウムの特性に関係しています。

アルミニウムには他の金属と比較して、腐食しにくい、融点が低いといった特性があり、この特性により使用後のアルミ製品を溶かし再利用する事が容易となっています。さらに、アルミニウムの場合再生地金を作成するのに必要なエネルギーが、新たに地金を作る場合と比較して、なんと僅か3%で済むのです。少ないエネルギーで容易に再利用する事が可能というわけです。肝心なリサイクル後の品質も、新地金と大差ない物が出来るので、とても経済的です。

こうした理由から、アルミ缶の空き缶回収が盛んに行なわれているのですね。
これまでのウスイ金属豆知識でご紹介したアルミニウムの様々な特性などをみても、今後ますますアルミニウムの需要は増える一方でしょう。そうした中、アルミニウムのリサイクル率の高さ、容易さは素材としての安定的な供給という面で安心出来ますね。

ウスイ金属

2016年12月20日火曜日

銅の殺菌効果と有機野菜~ウスイ金属豆知識~

今回ご紹介するウスイ金属豆知識は、銅は銅でも今までとは全く異なるシーンで活用されている銅をご紹介させていただきます。これまでご紹介したウスイ金属豆知識では、主に工業などの場でしたが今回は農業で活用されている銅です。

「ボルドー液」という農薬をご存じでしょうか。
ボルドー液には、硫酸銅が含まれており、銅の殺菌効果が活かされている農薬です。ボルドー液は、果物や野菜など幅広い農作物に使用する事が出来るので汎用性が高く、薬害も少ない農薬なので、農林水産省が告示する「有機農作物の日本農林規格」にも指定されており、有機農法での使用を認められています。今年放送されたNHK連続テレビ小説「あさが来た」のワンシーンでもボルドー液が登場していましたね。

食の安全に対する意識が高まる中、有機農法で作られた有機野菜の人気も自ずと高まっています。有機野菜と言えば無農薬で作られた野菜というイメージが高いですが、実際の所まったくの無農薬というわけでもありません。化学農薬、化学肥料および土壌改良材を使用せず作られた農産物、および必要最小限の使用が許されている化学資材を使用して生産されたものを指します。他にも細かい条件などはありますが、銅が含まれているボルドー液は国が定める有機JAS法で認められている薬害の少ない農薬なのです。その為、ボルドー液が使用されていても立派な有機野菜なのです。

銅の殺菌効果は、工業と畑違いともいえる農業の場面でも活用されているのです。銅って凄いですね!

ウスイ金属

2016年12月12日月曜日

銅の殺菌効果が活かされる現場~ウスイ金属豆知識~

以前のウスイ金属豆知識でも銅の秀でた殺菌効果についてご紹介しましたね。
今回のウスイ金属豆知識では、実際にどの様な場所で銅の殺菌効果が活かされているのかご紹介させていただきます。

まず、銅とは異なりますが、ステンレスにも殺菌効果がある事が知られています。
ステンレスの殺菌効果を活かした製品として、グレーチングがあります。グレーチングとは、格子状に組まれた溝蓋で、ステンレス製のグレーチングが登場するまでは溝に菌が繁殖しやすく不衛生という課題を抱えていました。しかし、ステンレス製のグレーチングが登場してからはこの課題をクリアする事に成功しました。その他にも雑菌の繁殖しやすい排水トラフやゴミ受けのバスケットなど水まわりの機器をステンレス製にする事で衛生面に気を配られています。

そして、最近ではステンレスよりもより高い殺菌効果を持つ銅が注目を浴びているのです。ステンレスの殺菌効果も優れていますが、近年、食中毒や院内感染などが社会問題として取り上げられています。人の命を預かる現場である病院や介護施設、食を扱う厨房などではより高い衛生管理が求められています。そうした現場に向けられているのが銅製のグレーチングなど排水システムです。

ステンレスと比べ銅は高価な為、コストがかさみますが銅の秀でた殺菌効果による「安心・安全」の意識から徐々にシェアを広げている様です。また、欧米では日本以上に銅による排水システムが広がっている様です。


ウスイ金属

2016年12月5日月曜日

銅と船底が赤い理由~ウスイ金属豆知識~

今回ご紹介するウスイ金属豆知識は、「銅と船底が赤い理由」です。
以前ご紹介したウスイ金属豆知識「銅の耐腐食性」にも通ずる内容ですが、今回の豆知識もとても興味深い内容なので是非ご覧ください。

皆さん「船底」と聞いてまず何色を思い浮かべますか?
普段私たちが目にする船は大抵船底が海に浸かっているのであまりまじまじと目にする機会はないかもしれませんが、船のプラモデルの船底は何色?と聞かれたらイメージしやすいのではないでしょうか。

船底と聞いて最もイメージされやすい色、それは赤色です。
実際、大型船やタンカーをはじめあらゆる船の船底は赤色に塗られている事が多く、日本だけでなく海外でも赤色の船底を持つ船はとても多くあります。

何故船底を赤く塗るのか?
まず、船底に塗られている赤い塗料は、赤褐色の亜酸化銅の粉末を主原料とした塗料で、合成樹脂が配合されています。(やっと銅が出てきましたね!)
そしてこの亜酸化銅の塗料は、フジツボなど船の天敵ともいえる海生生物の付着に絶大な効果を発揮するのです。そうです、これこそが船底が赤い理由なのです。

船が航海しているうちに、船底部分はフジツボ・イガイ・ホヤ・コケムシ・海藻などが付着し、これを放っておくと摩擦抵抗によりスピードが落ち、燃費が落ちる原因に。こうした厄介者を寄せ付けない効果が亜酸化銅の塗料にはあるのですね。

船底が赤い理由は、船を天敵から守る為だったのです。
銅にはこうした特性もあるのですね、驚かれた方も多いのではないでしょうか。

ウスイ金属

2016年11月28日月曜日

アルミニウムの特性「真空特性」~ウスイ金属豆知識~

11月28日、本日のウスイ金属豆知識です。
本日ご紹介するウスイ金属豆知識は、アルミニウムの真空特性についてです。


  • 高真空ポンプや配管
  • 高真空半導体装置
  • 理化学実験装置


など各種産業や実験施設などで使用されている真空装置にはアルミニウムを用いた物が数多くあります。その理由は、アルミニウムを上記の様な真空装置の材料として用いた際に、ガスの放出率が非常に小さく、また、真空到達性能が他の材料に比べてとても優れているからです。

アルミニウムはこの様に大変優れた真空特性を持っている為、各種産業や実験施設などで用いられている真空装置の材料として使用されているのです。

アルミニウムは本当に数多くの特性を持った金属ですね。

ウスイ金属

2016年11月21日月曜日

アルミニウムの特性「接合が容易」~ウスイ金属豆知識~

今回ウスイ金属が注目したアルミニウムの特性は「接合が容易」という点です。

アルミニウムには様々な接合方法があり

  • 溶接
  • ろう付け
  • はんだ付け
  • 電気抵抗溶接
  • リベット接合
  • 接着

などが一般的なアルミニウムの接合方法として知られています。
この様にアルミニウムは様々な方法で容易に、かつ信頼性の高い接合を行う事が可能です。また、こうしたアルミニウムの接合技術の進歩はまさに日進月歩であり、日々様々な分野で設計ならびに接合の合理化を実現するものとしています。

ウスイ金属豆知識で沢山のアルミニウムの特性を紹介してきましたが、アルミニウムの特性はまだまだ尽きる事がありません。

次回のウスイ金属豆知識ではアルミニウムの真空特性についてご紹介させていただこうと思います。

ウスイ金属